もう何年も前、渋谷行きの東横線に乗っていたときのこと。
目の前に立っていた高校生二人がこんな話をしていました。
「A君がさあ、消費者金融使ってたの知ってる?」
「何、それ?」
「A君が、突然『僕、お金たくさんもってるから、みんな困ったときは貸してあげるから』って
言い出したのね」
「そしたら、B君もCちゃんも、D君も『買いたいものあるから』『今月ピンチだから』
ってA君から借りたらしい」
「ふんふん」
「そんな感じで、いつでもA君は『いいよ、いいよ。いくらでもあるから』って
きた人に貸してた」
「そのお金はさ、消費者金融からA君が借りてたわけでしょ?」
「そうなの。そんなこんなで、A君はクラス全員にお金を貸してたんだって」
「気前いいって言っていいんだか・・・」
「それがさぁ、A君、消費者金融にお金返さなきゃいけないってことが
わかってなかったらしい」
「えーー?でも、だからみんなにボンボン貸せてたわけだ」
「そう。でね、消費者金融からこの日までに、返しなさい・・っていう通知が
きてはじめて、A君は知ったんだって」
「で、それからどうなったの?」
「それがさぁ、D君がA君に『最近、顔色悪いね、どうしたの?』って聞いたら
『俺さ、いついつまでに〇〇〇円返さなきゃいけないんだよね』って話したとたん
『あ、僕返してなかったね』『そうだ、私も!』『こないだ貸してくれたからね、今度は僕の番』って
感じで、あっという間にお金が集まって、A君は期日までに無事払い終えたんだって」
「えーーー?マジ?それ、すごくない?よくみんな返してくれたねー。
A君も、A君だけど。」
「そうなんだよ。A君がバカだったって言えばそれまでなんだけど。結局彼はね、
人に貸すためだけに消費者金融使って、自分の買い物とかにはぜんぜん使ってなかったらしい。」
「ふーん。A君やさしいね」
「でもね、返さなきゃいけないってことを知ってから、A君はもう消費者金融使うのやめたってさ」
「えー、でもこの話はすごいね」
すっかり聞き入ってしまっていた私。
心の中で
「すごーーーーーい!」
と叫んでおりました。
消費者金融って、そんな使い方あるんだ??
と、一瞬ダークなイメージが真っ白になりましたが、
それはA君の心の清らかさがゆえでしょう。
純粋な心から発したものは、綺麗にまるく収まるようになってるんですね。
お金は循環するっていういい例でもありますし。
(とはいえ、私自身はこの話を聞いても消費者金融は使いたくないですよ、もちろん。)
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